2026/10/07 15:00

「ovonir」とともに心地いい未来へ -ブランドディレクターの想い-


「卵殻膜からうまれた未来の繊維」を使用した「ovonir(オヴォニール)」は、肌にも環境にもやさしく、新しいライフスタイルを提案するブランドです。ブランドディレクターを務める角谷有希さんに、編集部ライターが「ovonir」への想いをうかがいました。

【ovonirブランドディレクター 角谷有希】

卵殻膜繊維「ovoveil(オボヴェール)」を使ったアパレルブランド「ovonir(オヴォニール))」のディレクターとして、企画開発から、販売促進・PR等、世に出るまでを担当


素材のよさを120%引き出したい

うっとりするような滑らかさとしっとり感。いつまでも触れていたいと感じる心地よさが「ovonir」の特徴のひとつです。その心地よさの理由は、卵の殻の内側にある薄い膜を加工してつくった卵殻膜繊維「ovoveil(オボヴェール)」をつかっているから。
現在、キャミソールやソックスなど直接肌に触れる商品のほか、プルオーバーやジョガーパンツなど複数のアイテムがあります。

「卵殻膜繊維は保湿性に優れていて、肌のバリア機能を維持できることが科学的に確認されています。実際、私もサンプルづくりで素材を触っていると、夕方には指の感覚がちょっと違うな、水分の蒸発を防いでくれているように感じます。こうした素材のよさを十二分に引き出したい。それにはどんなアイテムがいいか、商品企画からサンプル作り、量産化まで一連の工程を担うのがブランドディレクターとしての私の仕事です。
やはり素肌に身につけることが一番よさを実感できると思うので、最初は靴下とレッグウォーマーを商品化しました」

さわってみたらすごく気持ちよかった

そもそも角谷さんが卵殻膜繊維と出会ったのは、数年前、前職にいた頃。アパレルメーカーの研究部門で新ブランドの立ち上げや商品開発、基礎研究など、様々な分野で活躍されていた角谷さんは、新素材の提案で「卵殻膜から生まれた繊維」として紹介された時に、初めて触れたと振り返ります。

「最初、卵殻膜から糸をつくるなんて、とても難しそうだな、変わっているな、と不思議に思っていました。でも、その繊維をさわってみたら、ものすごく気持ちよかったんです。その糸は後に“ovoveil(オボヴェール)”という名前がつくのですが、当時はまだ名前すらついていなくて、まさにできたての新しい糸でした」

その後も、同僚が開発者とやりとりするようになり、「卵殻膜の繊維に名前が付いた」「こんな製品ができそう」等の情報が入ってきていました。

「自分が担当していたわけではないのに、なんだか自分もその新しい糸の成長を一緒に見守るような感じで、ワクワクしながら聞いていました。その後、転職活動をしていた時に『あ、あの糸を作っている会社だ!』と縁を感じ転職し、今に至ります。」

「着心地」「使い心地」を何度も検証

会社は、繊維素材をつくっているだけでなく、最先端のバイオ技術を駆使して機能性素材の開発を行う会社でした。特に卵の力に着目して開発研究を推進しています。角谷さんの転職時はまだアパレルブランドは立ち上がっておらず、角谷さんは卵殻膜を原料にした化粧品の企画開発に従事していたそうです。

「卵殻膜にはコラーゲンが含まれているので、化粧品原料としても役立ちます。そのため繊維に加工されたときも、摩擦が少なく、肌にやさしい素材になるんです。入社してしばらくは、化粧品のコンセプトづくりからサンプルづくりなど企画開発をしていました。とくに使い心地や使いやすさにはとてもこだわっていて、改良を重ねました。」

やがて卵殻膜繊維をつかって自社ブランドをつくることになり、角谷さんがディレクターに。そうしてovonirが誕生してからも、使い心地や着心地にこだわることが身についていた角谷さんは、何度も何度も検証を重ねているそうです。「納得するまで何度も検証する」というものづくりへの向き合い方は、前職のアパレルメーカーでパタンナーとして働いていた頃に培われたものだといいます。

「アパレル、特にインナーの場合は脱着しやすいか、縫い目が肌にあたっていないか、締め付けていないかなど、とくに着心地に留意しています。ovonirブランドを開発するにあたっても同じようにこだわっています」

ただ、これまでにない新しい素材だからこそ、試行錯誤があるようです。

「ovonirは卵殻膜繊維100%のストールを除いて、Tシャツやインナーは綿など他の素材と合わせてつくられています。つくりたいアイテムに合わせて、どんな生地をどれくらい混ぜたらより着心地がよくなるか、頭の中はそれでいっぱい。生地は触っていないと感覚が鈍るので、日々たくさんの生地に触れるようにしています」

積み重ねたキャリアの結晶

角谷さんは前職のアパレルメーカーでは、パタンナー、デザイナー、商品開発担当など様々な業務を担当していました。

「CADといったデジタル技術だけでなく、アナログ技術、つまり定規を当てて線を引くといった、服をつくるための設計図に相当する製図も経験し、スキルの幅も広がったと思います。また、伸縮性のある新素材を形にすることもあり、その特性をどう活かして商品にするか、やはりずっと素材のことを考えていました。こうした経験が今の仕事に役立っています」

これまでの角谷さんの経験やスキル、そして想いが融合されて、ovonirがうまれたといえそうです。

糸、編み方、生地、加工・・・すべてが大事

角谷さんは、お母様が自宅で編み物の先生をされている姿を見て育ち、自分も「なにかをつくる人」になりたいと考えていたそうです。高校時代に初めて本格的に服作りをし、「パタンナーになりたい」と大学の被服科へ進学。夢をかなえただけでなく、デザインや企画、外部との折衝も行なう今、「好きなものがつくれて楽しい」とにこやかに話します。

「機能性素材の研究開発の会社なので、生地を糸からつくることができます。この糸をつかって何をしようか、どんなものをつくろうかと考えることができるのが楽しいですし、逆に新しいアイテムをつくりたいとなったとき、それに合った素材にまで遡って考えることができるのも面白い。自分のアイデアが商品として人の手に渡り、実際に売れる喜びを味わえるのも、この仕事の大きな醍醐味です。」

「ただ素材だけよくてもダメ」と角谷さんは強調します。

「素材はよくても、それを形にした時はどうなのか。卵殻膜繊維なら、何が一番活かされるといいのか、アイテムにうまくはまらせるのがキモです。原料を活かす糸、糸を活かす編み方、加工法、形など、そのすべてがうまくつながって、『すごくいい!』となることが大事。完成品はトータルでよくないと、消費者から選んでもらえません」

からだにもこころにも「心地よい」を届ける

「例えば、素材もデザインも完璧なのに、着ているとキャミソールの裾が上がってきて気持ちが悪い、といった経験をお持ちの方も少なくないと思います。そうならないよう、実際に試着してみて、改良に改良を重ねています」

やはり角谷さんがこだわるのは「いかに心地よく着られるか」。さらにこう続けます。

「“ずっとovonirを着続けていたい”と思えるようなアイテムをつくりたい。それだけでなく、身につけていると気分がアガる。そんなふうに、着心地だけでなく、こころも軽やかになるようなものづくりをしていきたいですね」

「ovonir」の「ovo」はラテン語で「卵」、「nir」は「未来」という意味のフランス語「avenir」だそうです。今後、ovonirをつかってどのような未来をつくりだしていくのか、新たなアイテムが登場するのが楽しみです。
[取材:2026年8月]

▶▶ 新ブランド”ovonir(オヴォニール)”について(2025/8/1)


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